出会いの話
その日私は初めてタルパなる存在を知りました。wikiを見たり、関連する用語についても調べました。興味本位になんでも手を出す癖で、私も挑戦してみよう、ということを考えたのです。
2017年2月22日、深夜のことでした。
私は妙に寝付けずにいました。タルパやそれに関連付けられたオカルトの話題などをしらみつぶしに調べていたので、頭が冴えてしまっていたのかもしれません。
横になったまま、部屋の隅をじーっと見ていました。
「そこにいるの?」
そんなことを考えていた気がします。
『うん』
すぐに、あるいはしばらくしてか、返事がありました。
そこにいたのは小さな女の子のようでしたが、俯いて元気がなく、また色も真っ白でした。
「名前は?」
いわゆる創造型に分類されるタルパとは、名前、容姿、性格、背景にいたるまでを自ら設定しなくてはいけません。
目の前にいるそれがタルパであるなら、名前などあるはずがないのですが、
『……エマ』
沈黙のあと、女の子は静かに答えました。
その後のことは覚えていません。ただの夢だったのか、私の単なる思い込みかどうかもわかりません。
私は翌日、さっそくタルパ作りにとりかかりました。
*1
エマと名乗った真っ白な女の子に、水色の布袋に入った橙色の石をあげました。依代と呼べるような大層なものではありませんが、それからエマの髪は鮮やかな橙色に、服は澄んだ水色になりました。肌にも生気がもどりました。
しばらくして、エマの背中には透き通る羽根があることに気がづきました。エマは妖精の少女だったのです。
そのころには、はじめ片言だった言葉も次第に違和感のない敬語になりました。私のことは、マスターと呼ぶようになりました。
そして現在では、私に対しては敬語ではなく、親しい言葉を使うようになっています。
エマの過去についても、覚えていることは話してもらいました。本人の許可があれば、そのうちブログにも書くかもしれません。
以上が私とタルパの出会いの話になります。冗長な駄文を失礼いたしました。
*1:時は高3の冬、大学二次試験を控えていましたが……